第8回 脂質代謝 講義資料

テーマ 第8回 脂質代謝

主題 脂質代謝(分解・合成)と血中の脂質の輸送について

主題細目 @脂質とは A脂質の消化と吸収、排出 Bリポタンパク質による輸送 C分解と合成 D代謝の調節

概要

@ふだん口にする脂肪はトリアシルグリセロール(TAG)とよばれ、3分子の脂肪酸と1分子のグリセロールからできている。脂質には他に、コレステロールならびにコレステリルエステル、親水性と疎水性の両方の部分を持ち細胞膜を構成するリン脂質、コレステロールを原料として作られホルモンとしてはたらくステロイド、糖鎖と結合し神経組織などの構造を保つはたらきをする糖脂質などがある。リン脂質の一部は細胞内メッセンジャーや細胞間化学メディエーターの供給源としてもはたらく。

ATAGは膵液に含まれるリパーゼによって分解され、その他の脂質とともに胆汁塩でミセル化され、小腸粘膜細胞から吸収される。キロミクロンというリポタンパク質によって門脈ではなくリンパ管を通って、胸管から左鎖骨下静脈に合流し、全身に運ばれる。コレステロールは胆汁塩としての胆汁中への排出と小腸での再吸収という腸肝循環をし、一部は便中に排出される。

Bリポタンパク質はタンパク質と脂質からなり球状をしていて、疎水性の脂質を中に封入して効率的に血液中を輸送する。リポタンパク質は大きさと密度によって分類される。大きいほうから、キロミクロン、VLDL、LDL、IDL、HDLといった種類がある。肝臓や筋肉にはリポタンパクの受容体がある。脂肪組織などではリポタンパクを分解して脂肪酸を取り出し利用する。リポタンパク質は最終的に肝臓に回収されたり、血管に沈着したりする。

C脂肪酸の分解はβ酸化とよばれ、炭素を2個ずつ減らしながらアセチルCoAを多数生成する。脂肪酸の合成は、マロニルCoAを用いて炭素を2ずつ伸ばしていく。コレステロールは多段階を経て合成される。

D脂肪酸の代謝の調節にはグルカゴンとインスリンが関与している。胆汁塩の排出の増加は血中コレステロールの減少をもたらす。コレステロールの合成はスタチンで阻害される。