第10回 窒素を含むアミノ酸以外の化合物の代謝 講義資料

テーマ 第10回 窒素を含むアミノ酸以外の化合物の代謝

主題 カテコラミン、ヘム、ビリルビン、核酸(プリン、ピリミジン)の代謝

主題細目 @カテコラミンなどの代謝 Aヘムの合成 Bヘムの分解 C核酸の構造と代謝

概要

@フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンからは、テトラヒドロビオプテリン(BH4)を補酵素とする反応によって、チロシン、DOPA、5-ヒドロキシトリプトファンができ、それぞれ、メラニン(皮膚の色素)、カテコラミン、セロトニンになる。後の2つは神経伝達物質あるいはホルモンとしてはたらく。ヒスチジンからはマスト細胞から分泌されアレルギー反応に関係するヒスタミンが生成される。

AグリシンとスクシニルCo-Aとからδ−アミノレブリン酸(ALA)が、ALAからポルフォビリノーゲンが生成する。これの4分子から、プロトポルフィリンIXができ、これが鉄イオンを保持してヘムができる。ヘムはグロビンとともにヘモグロビンをつくり、赤血球内が酸素を保持するための担体となる。

B老化した赤血球はマクロファージによって脾臓や肝臓などで破壊される。そのときヘムはビリルビンになる。ビリルビンは肝臓でグルクロン酸と抱合して胆汁中に放出され、消化管に排出され、腸内細菌によってウロビリノーゲンになる。その一部は再び吸収されて消化管と肝臓との間をぐるぐる回るが、一分は血液に溶けて腎臓からウロビリンとして排出される。

C遺伝物質であるDNA、遺伝情報のタンパク質への変換にはたらくRNAは核酸(ヌクレオチド)で構成される。ヌクレオチドは窒素を含む塩基、環状の5炭糖、1〜3個のリン酸基でできている。塩基は形によってプリンとピリミジンに分けられる。プリンを含む核酸の合成は新規(de novo)合成あるいは既存の核酸の再利用(サルベージ)でおこなわれる。余分なプリンは尿酸として尿に捨てられる。ピリミジンはグルタミンとアスパラギン酸から作られ、分解は完全におこなわれる。チミンを含む核酸の代謝は細胞増殖と密接に関連し、抗がん薬のターゲットでもある。